ゆっちゅの魂

あと一月でゆっちゅは三歳になる。 ゆっちゅはジィジやバァバなど、じぶん以外の人と言葉を用いて遊ぶことができるようになってきた。 「あっちへ行くよ 座る」は、あっちへ行ってイスに座って、自分のそばに来ないでという意味なのだ。 「・・しない」とい…

我が道をゆく

散歩に行こうよと言うと、「さんぽ行かない」 お家に帰ろうと言うと、「おうちに帰らない」 お風呂に入ろうと言うと、「おふろ入らない」 と何か提案すると必ず拒否する最近のゆっちゅ。 自らの行為を否定的に表現しはじめたことで印象にのこっていることが…

おトイレ訓練

ゆっちゅのオムツはずしの訓練がいよいよはじまった。 オシッコやウンチを意識し、それをトイレですませることを覚えることは、ゆっちゅの生涯にわたる自己の自然性との対話のはじまりとなる大切な学習である。 それは、ある意味では意識の王国の土台である…

「もう一回」

文化は言語と手を取りあって人間の意識を自然状態から遊離させてゆく。 意識は言語によって反復学習をくりかえす。 眠りから覚めたゆっちゅが言葉をしゃべりだすと、表情やしぐさに生気がみなぎり行動が快活になってゆくのが確認できる。 また、特定の言葉が…

自己性の夜明け

脳神経細胞をかけめぐる信号はデジタル性でリズム的性質をもち、外界の昼夜の日リズムや寒暖などの年リズムをはじめとして、さまざまなリズムが共振する場面に触発されて意識と言語は手を携えて発生するとかんがえられる。 「三つ子の魂」に言語の形成が大き…

意識の王国

ヒトを細胞という視点からみると、ヒトは自然な存在である。 しかし、人の意識が形成されるやいなや人の自然状態からの離脱がはじまる。 オシッコやウンチは自然の摂理であり、おなかが空けば不機嫌になるし、眠くなったら意識は散漫になる。 細胞の活動は生…

三角形が北を指す

ゆっちゅは風に反応する。 「あっ風がふいてきたね」 風速計をみて「南南東の風だね」などとジィが言った言葉をまねて言ったりする。 そこで「東西南北」の方角を教えようと思いたってコンパスをもちだして見せた。 小さなもので北を示す文字のうえに三角形…

「右まわり左まわり」

その場に立って天井を見あげてぐるぐる回る遊びをゆっちゅは以前からやってはいたのだったが、右回りと左回りの区別がわかるようになった途端に「右まわり 左まわり」と唱えながら右に回ったり左に回ったりすることが一段と楽しくなったかのように夢中になっ…

右と左

「右」と「左」という言葉をつかいはじめたゆっちゅは、身体をひねる運動をするようになった。 蛇行して走ったり、上半身を90度ひねったままで走ったり、またちゃぶ台の上から跳びおり身体を90度ほど旋回して着地したりする。 すでにゆっちゅはじぶんの左右…

すわるとおりる

ゆっちゅは「すわる」という言葉を「椅子に座っていて、こっちに来ないで」という意味でつかう。 また、「あっち行くよ」は「あっちへ行って、こっちに来ないで」という意味でつかっている。 これらの言葉は、ゆっちゅが自分のテリトリーを意識していること…

イルカショーとエンジンジン

ゆっちゅの遊びの中で儀式になっているものがある。 全長1メートル足らずの青いイルカの形をしたビニール製の空気を入れてプールで浮かせて遊ぶ遊具があって、それを使ってやる遊びである。 そのイルカの遊具は一年ほど前にママと叔母と三人で水族館に行っ…

雨の音がする

その日は雨が降ったり止んだりする天気だった。 フードのついた青いポンチョの雨がっぱを着てゆっちゅは初めてと言っていい雨の中の散歩に出かけた。 家を出たときは一時的に雨は降ってなかったが道路のあちこちに水たまりができていた。 ゆっちゅはうれしそ…

会話をする

ばあばと三人で散歩するようになってから、ゆっちゅはばあばとよくおしゃべりをする。 目に入ってきたものや自分がすることなどや思いついたことなどを、次から次へと矢継ぎ早に言葉を繰り出してくる。 「お花きれいだね」 「ゆっけ走るよ」 因みに、「ゆっ…

大っきな声だすよ

その日は、雨が降って来そうでなかなか降り出さない寒い日だった。 河川敷グラウンドで、サッカーボールを蹴るのは、ゆっちゅの他には6〜7人の小学生の男女の集団だけだった。 その集団をゆっちゅが意識し始めたのはどの時点であったろうか。 最初はかなり…

大きな声で

ゆっちゅは、人を遠ざけるとき「ジィジ あっち行くよぉ〜」「ばあば あっち行くよぉ〜」と言う。 関心があるものに集中したいときに、邪魔をされると「○○あっち行くよぉ〜」と言うようになった。 これは、ゆっちゅに自己中心的な意識が生まれてきた証しのよ…

五月のバラ

ゆっちゅの下半身に安定感が見られるようになり、巧みな足技を身につけ始めた。 ひとりで両足ジャンプをしたり、両手を吊り上げてもらってジャンプしたり、両手をつかんでもらった状態で後ろにそっくり返ってジィの股の間から後方を逆さに見るなど、自分の身…

お願いします

ゆっちゅの最後の切り札が、「おねがいします」というセリフである。 ばあばとふたりでゆっちゅを散歩の誘いに行く。 チャイムを鳴らすと、待ちかねたようにゆっちゅが迎えに出る。 しかし、「ジィジ あがる」とゆっちゅは家に招き入れようとする。 ばあばが…

やめろと言われても

ダメと言われるとやらずにいられないのか、ゆっちゅはジィを困らせて喜んでいる。 ゆっちゅとアパートの前にある駐車場でサッカーをしていたとき、ゆっちゅの蹴ったボールが道路の方に転がって行くのをジィが慌てて走って取りに行ったことが面白かったようだ…

再び外遊へ

ゆっちゅの気持ちは、再び外遊へと向かい出した。 トンネルを通って山のふところに入った。 ゆっちゅの心を突き動かすものが強かったのだろう、自分から歩いてトンネルに入っていった。 山の上り下りの坂道もしばらくぶりのことで刺激的だったのだろう、足取…

寝技の研究

柔道の技には大きく立ち技と寝技という区別がある。 ゆっちゅにとって立ち技の習得の第一歩は、歩行であった。 歩けるようになると、河川敷グランドを走り回わり、階段の上り下り、坂道の駆け足、さらにそれにも飽き足らず、道無き道を求めて藪の中や石だら…

巣ごもり

「巣ごもり」という言葉がある。 鳥などが巣にこもっていることを言い、俳句の「春」の季語なっている。 散歩をしなくなってからのゆっちゅは、「巣ごもり」の状態にある。 ゆっちゅがある時からぱったりと散歩に興味を示さなくなったのはなぜか、気になって…

「お仕事 くるよー」

これもユーチューブで学んだようだが、ダンプカーや救急車などの「働らくクルマ」を説明する映像からゆっちゅなりに理解して、「お仕事」という言葉を使うようになった。 それぞれのクルマが担っている役割を果たすことを映像では「お仕事」と言っているのだ…

くるま音頭 だよ〜♪

ママは眠りから目覚めると、ゆっちゅがママのまわりにミニカーをたくさん並べて遊んでいたことを示す痕跡をよく目にするようになったと言う。 寝たふりをして薄眼を開けて見ていると、ゆっちゅは歌を歌いながらひとりで遊んでいることもあると言う。 ゆっち…

シャウト

ゆっちゅが大声を出すようになった。 しかもそれが遠慮がちにしているところが可愛い。 「おふろあがるよー」 「おふろ」「あがる」「よー」と尻上がりに語気を強めてゆくのだ。 そして「もう一回」と言いながら、もう一回叫んだ方がいいかなと問いかけるよ…

外遊初日

ゆっちゅがアパートの敷地の外に自分から足を踏み出したのは、内発的な衝動に駆り立てられたからであろうか。 いっしょに歩いていて、ゆっちゅが何かを探し求めている様子が感じられた。 最初に向かったのは田んぼであった。 入りたいというので、土留めされ…

再び外遊へ

ゆっちゅが再び外遊に出だした。 「お砂」遊び道具一式をもってアパートのアーチをくぐって、以前の散歩コースの道に足を踏み出した。 「お砂」遊びとは、ゆっちゅの住むアパートの部屋が一階の東側の端にあり、その外壁に沿って二坪ほどの三角形をした砂利…

子どもの世界

ユズとハルがゆっちゅの家を訪ねて遊びにくるようになった。 ユズは「おもちくん」と呼んでモチモチしたゆっちゅのほっぺがお気に入りらしい。 その日ジィが家に戻った後で、2回目の訪問があったと言う。 小3の姉のユズちゃんが「お餅君の家に遊びに行く」と…

「じぶんでやる」

近頃ゆっちゅは寝言を言うようだ。 「もう一回」と。 よほど再現可能性に執心しているようだ。 しかし、それが決して悪いというわけではない。 何しろ再現可能性は科学的な知見の土台をなすものだから、そしてその次にやって来るのは「なぜ?」という因果関…

ゆっちゅのマドンナ

ゆっちゅが最近好んでやる遊びの一つに、空気で膨らませた全長1mほどのビニール製のイルカのぬいぐるみに跨ってから、そこを飛び退いてすぐさま自分の顔を覆った水を払いのけるしぐさをするというのがある。 水族館でのイルカショーの経験を再現しているよう…

ユズとハル

小学三年の姉「ユズ」と一年の弟「ハル」という、ゆっちゅと同じアパート群の別棟に住む姉弟と遊ぶ機会があった。 高台の中腹に建つアパート群の土盛りのためのコンクリートの壁や金網のフェンス、駐輪場の屋根、各家庭で使うガスを一括管理している大きなガ…