一人でできるもん
ゆっちゅは、近頃、近くの遊園地から家に戻る途中にある石段を手すりにつかまりながらひとりで昇れるようになりました。
ひとりで登り切ったときの満足した顔は、良いものでした。
初めは、数を教えようと思い、さんぽコースにある石段をゆっちゅを抱っこして、一つ、二つと数をかぞえながら、登り下りしていました。
川に石投げさせたり、ヨシズの茎で川面を叩かせると面白がるので、川岸に下りるために石段のない土手を抱っこして登り下りしました。そのたびにゆっちゅは、声を発し身を揺すって喜びます。
そのうちに川遊びをするところや石段の近くに差し掛かると、「こっち こっち」と催促するようになりました。
ひとり歩きするころには、石段や土手を自分で登るといって聞かなくなりました。
もちろん、はじめは手を引いてやっていました。
日によっては何度となくやろうとするので行き先を変えようとすると、そっくり返って抵抗するので閉口することもあります。
ジィは、より一層足腰を鍛錬しなければと思いました。
ゆっちゅの運動能力の高まりには、自らの衰え行く体力を感じさせられながらも、嬉しくもありました。
感覚は外界の情報の脳への入力であり、それをもとに、脳からの指示で手足の運動がおこる、それが出力である。
手足をはじめ、口を動かしたり、眼を閉じたり開けたりを指示するのが大脳皮質の運動前野で、その先が前頭前野である。ご存知、知性や意志を司るところ、おでこの内側である。