ボクの手

その日は、一緒にクレヨンで絵を製作した。それが壁に貼られた。次の日は叔母ちゃんとママと協働製作した。それもまた、貼られた。

何度もそれらの絵を見てゆっちゅは、嬉しそうな顔をした。

そんな日の晩、一緒にお風呂に入っていたとき、ゆっちゅが自分の左手の掌をじっと見ているのが、ジィの目に留まった。

ゆっちゅが自分の手を認知している、とジィは感激した。

なぜなら、それまでゆっちゅは自分の手をつかまれるのを嫌がるので、なぜなのか気になっていたから。何でも自分一人でやりたいのだろうと、ジィは思っていた。

ところが、そのときは、「これは、ゆっちゅの手」と言って掌を親指で、残りの指で手の甲をしっかり挟んでも、ゆっちゅはされるがままにしていた。ゆっちゅは呆然としている様子だった。

これまで、ゆっちゅが自分の手をジィに握らせてくれるのは、ジィと同化・融合するときに限られていた。階段の上り下りなど、ひとりでできないことをするときや、初めて知らない場所に足を踏み入れるときは、自分の方から手を差し出してきた。

ゆっちゅはようやく、自分の手を対象として認識したのだろうと思う。

 

これまで嫌がっていた仕上げの歯みがきも、少しさせてくれるようになったし、食事も自分でホークを使って食べるようになってきている。

また一つ、成長の証しを感じた。

その日の夕方のさんぽで、ゆっちゅの川辺の石投げは、軽く50個は越えていた。