自発的タッチ

ゆっちゅは、タッチして物を確認する。

最初にゆっちゅにタッチさせたのは、てんとう虫だっただろうか。今でもてんとう虫は、よく認知する。絵本などで見つけても「ゥシー」と声を出してゆび指す。

桜の花にもタッチさせた。だからか、花が散って、葉っぱだけになっても「ンパー」と、それとわかっている風だ。

最近では、電柱や街灯の支柱やカーブミラーの支柱だ。じぶんからタッチしてから、ジィにも同じことをするように、抱っこしているジィの指をひっぱる。そして、ジィがタッチすると、ゆっちゅがアイコンタクトしてくる。

 

昨日はママがお仕事があって、8時過ぎにゆっちゅはやってきた。

朝ごはんを食べた後、さんぽに行った。

お昼を食べて、たっぷりお二階探険もしたが、ゆっちゅは、なかなかお昼寝をしようとしない。

ゆっちゅは、お気に入りのマクラに顔をうずめたり、ふとんに突っ伏したり、手足も熱いので、眠気が襲ってきているのは間違いないが、必死に抵抗している風だ。

寝るかと思うと立ち上がって、おもちゃの入ったバケツをひっくり返して、おもちゃを手にとってもすぐに投げ出し、絵本を持ってきて読むようせがんでおいて、読んでやるとすぐ立って他のことをしだす。

あきらかに睡魔と戦っている。

ばあばが歌って聞かせても、昔話をしてやってもダメだった。

ジィとばあばは、万策尽きて寝たふり作戦を取っていたとき、ゆっちゅはふいに起き上がってばあばの顔を「たたいた」ので、ジィが「人を叩いちゃダメ」と注意したら、ゆっちゅは泣き出した。

ゆっちゅは「真剣に」泣き出した。膝立ちしたまま、腕をだらりと下げ、鼻汁を鼻からあふれさせて、腹の底から泣き声を上げている。

ジィはゆっちゅを抱きかかえ、そのままゆっちゅをうつ伏せに、お腹に載せて仰向けになっていると、間もなく、ゆっちゅはしゃっくりをしながら眠りについた。

ゆっちゅの意識は、やっと睡魔の軍門に下った。

 

最近のゆっちゅは、じぶんからコミュニケーションをとろうとする傾向が顕著になってきていて、そんな時はよくじぶんからタッチしに行くのが見られた。

しかも、ゆっちゅがじぶんからタッチしに行くのは、じぶんが知っているものに限られることも、ジィは見ていたはずだ。

しかし、それに思い至ったのは、仕事を終えて帰ってきたママに、その日のゆっちゅの様子を話していたとき、「たたくのは、ゆっちゅの愛情表現なんだよね」という言葉を聞いてから後のことだった。


その日のお昼寝は、たっぷり3時間だった。寝ている間に、ゆっちゅの爪と髪を、ジィが心をこめて切ってやったことは、言うまでもない。