石並べ

今日のさんぽは、台風一過の余波の風に向かって両腕を広げ、髪をなびかせてにこやかな笑顔を見せて、スタートした。

いつもの駐車場で、いろいろ反復復習した後で、いつもの階段を数を数えながら上り下りする。

今日は、「ハチ」と「ジュウ」が加わった。

閑静な住宅地の中を通って、遊園地で遊び、ごみ収集車の資源ごみ回収を見てから、河川敷に降りた。

河川敷の土が見えているところで、初めて「へのへのもへじ」を書いて見せた場所なのだが、ゆっちゅは棒切れを探して何か描きはじめた。

その棒切れを、ジィに渡してきた。

何か書けというのだろう。

草が茂っていて土が見える場所が少ない。

久しぶりに「へのへのもへじ」と書いた。

ゆっちゅも「へのへの」と口ずさみながら、マネしながら描く。

つ飽きもせず、しばらく反復復習する。

「へのへの」とゆっちゅ、「もへじ」とジィが合いの手を入れる。

そして、今日新たな遊びが始まった。

石の大きさ比べだ。

河川敷の、釣り人や週末にパラグライダーをやりに来る人たちが車を乗り入れる場所は、駐車場のアスファルトから剥がれた均一なビリ石とは異なり、大小の自然石が埋まっていたり浮きあがったりしている。

はじめは、何とはなしに石を拾って投げて遊んでいたゆっちゅが、結構な大きさの石を投げるので、「ゆっちゅ、大っきな石を投げるね」と感心して声をかけていたら、手にした石をジィに差し出してきた。

「大っきいね」と言うと、ゆっちゅは石を拾う度に見せてくる。

次第に大きな石を手にするようになって、自分の握りこぶしより大きな石は、ジィに手渡してくるようになった。

そのうちに土手道に上がるコンクリートの坂道にやってくると、数を数えながら楽しそうに登り出した。

しかし、途中まで来て、また降り、上り口に戻った。

そこでしゃがんで、また石を拾って「おっきい」とつぶやいて、ジィに見せる。

「大っきい」と応えると、ゆっちゅも「おっきい」と言いながら、別な石を手に取って「おっきい」と言う。

「それは、ちょっと小ちゃい」とジィ。

そうすると、ゆっちゅはまた別な石をつまんで見せる。

「それは、もっと小ちゃい」と言うと、ゆっちゅは「ちっちゃい」とつぶやく。

やがて、二つずつ手に取って「おっきい、ちっちゃい」とつぶやきながら、コンクリートの道の端に石を並べはじめた。

さて、今日のさんぽは、長くかかるぞ。

 

台風一過の風も弱まり、青空が広がりだして太陽の光が、草や石やコンクリートを焼きはじめた。

早く帰らないと、ジィはゆっちゅの身体が心配になった。

そこに、天の恵みか、ゆっちゅの大好きなごみ収集車が通りかかった。それを追いかけて、ようやく帰宅する。1時間半を超えていた。

今日の道草さんぽのほとんどを、ゆっちゅは歩いた。