草むらへ石を投げる
今日の道草さんぽにゆっちゅは、朝ご飯前に、せんべい2枚に麦茶を飲んだだけで出かけた。
行き先を決めかねていたゆっちゅは、結局いつものベランダ下の駐車場へ抱っこされて下りた。
車止めの上に立つこと、そこから降りて家のベランダの下の石垣まで走っていってタッチして、再び走って戻ってくるという、反復練習を今日は2回しかしなかったが、足の運びがしっかりしている。
1日経つと、あっという間に上達しているのに驚く。
鳥の影を追って、先の道へ向かう、が、すぐまた抱っこをせがむ。
階段にさしかかったところで、抱っこから下ろすと、自分で階段を降りた。
降りてすぐのところにある畑まで駆けて行って、自分の腰ほどの高さの土留めの柵から、懸命に手を伸ばしてナスの葉っぱを触った。
土手の道に出て、小さな石をつまみ上げて遊ぶうちに、その一つぶを食べろとジィの口に入れようとしたのを、「食べられないよ」と拒んだら、ゆっちゅは泣き出しそうな顔になって、ジィの頰や顔を平手で叩きだした。
叩かれた頰を、ゆっちゅのほっぺに押し当てたら、怒りが治ったと見えて表情が明るくなった。
機嫌が直るや否や、土手の道を横切り、河川敷に降りる坂道を下り出した。
そこは昨日、石並べをした場所である。
案の定、石並べをし出したが、少ししただけでやめた。
代わって、土手の草むらに石を投げ入れ始めた。それはかなりこだわってやっていた。
そして、歩きながら、石を拾っては、近くの草むらに向かって投げるという行為を、しばらく続けた。
それに飽きると、抱っこを求め、さらに遠くへ行きたいと訴えたが、「お家を建てているから、見に行こう。さっきクレーン車が見えただろう」と言って方向を変えた。
ゆっちゅはおとなしくしていた。
建築現場を見てから、ゆっちゅのお気に入りの踏切に行った。
踏切に立ったゆっちゅは、線路を横切って行ったり来たりした。
そして、ふと顔を上げて線路が一点に収斂して行く先に目をやり、傍に立っている電柱をゆび指し、「イニサンシゴ、いっぱい」と言ったのが聞こえた。
家に着くと、空腹とのどの渇きのためだろうか、バイバイもせずに部屋の奥に姿を消した。