おっきなバフ

土曜日のことである。

新築中の家は、二階の壁の部分が覆われて、窓の部分が空いている状態になった。

一階部は相変わらず柱だけである。

「お家は、柱と壁と屋根からできているんだよ」と説明しながら、抱っこして歩いて行く間、ゆっちゅは「ハシ」「アシ」「イチ ニ サン シ ゴ いっぱい」を連呼し通しだった。

 

ゆっちゅは、車のナンバープレートのひらがなと数字の読み上げにハマった。

また、川沿いにあるダム放流時の警報を案内する看板のひらがなと数字も読み上げてやった。それにも、ゆっちゅはハマった。

その日は、車や放流警報の看板を見かけるたびに、読み上げろと催促してくるので、ジィは閉口した。

 

このところゆっちゅは、家では、おもちゃの大きなバスと小さなバス、外では大きな石と小さな石を言葉にして確認する作業にハマっている。

「おっきなバフ」「ちっちゃなバフ」

まだ、バスと言えないのだ。

バスのおもちゃは、たいそう気に入っていて、かなり前から遊び相手になっていたにもかかわらず、名称を呼ぼうという気配はなかった。

ここで急に呼び始めたのは、大きな石と小さな石の比較をするようになってから、車のおもちゃたちの中に小さなバスを発見したことがきっかけだったように思われる。

それからは、橋の上を走って行くバスを見つけると、得意になって「バフ」と叫ぶ。

ついでに言うと「バフ」のフは、下唇を噛んで出すような音で、プに近い。