クレヨンをもった狩人
このところ、絵描き願望がまた高まりだした。
支援センターでも、よくお絵描きをしているやうだが、ジィの家ではしばらくの間、お絵描きは中断していた。
日曜日のこの日も絵を描きたいとクレヨンを探し始めたので、用意してやった。
ゆっちゅの描く線は力感が増してきて、クレヨンを走らす速度にも強弱のメリハリが付いてきていた。
勢いよく床まではみ出しても力を抜かないで描いているところをばあばに見つかって、それを紙で隠そうしたりした。
さらに興奮したゆっちゅは、ジィの顔や脚や腕にも青いクレヨンで走り描きをし出した。
以前同じことしたときは、ジィの顔色をうかがいながら用心してやっていたが、この日のゆっちゅは強情で、やめさせようすると、何がなんでもゆっちゅは描こうと抗ってきた。
線を引くことが、ゆっちゅの脳の中で新たな意味を持ち始めたのだろうか。
今までと違うことといえば、カレンダーの裏に描くのが多いのだが、ゆっちゅはひっくり返すと暦の数字があることに気づいてからは、「イチ ニ サン シ ゴ」と、それを読んだりしていた。
この時もゆっちゅが絵を描いていて、ジィにも描けと、青いクレヨンを渡してきたので、ジィは12345と数字を書いたりしていた。
そうすると、ゆっちゅはひっくり返して暦の数字を見て、その数字を読み上げていた。
ジィが、その数字の下に、クレヨンで同じ数字を書いたりもした。
それを見て、ゆっちゅも数字を書こうとマネをすることもあった。
このような一連の、ゆっちゅとの協働作業が何か影響しているのだろうか。
この日、ゆっちゅは、紙からはみ出し、躊躇なく床に描いているところを、ばあばに見つかって、慌て青いクレヨンを手に持って、ジィに襲いかかり線を引いたのだった。