暗がりのさんぽ
水泳教室から戻ってきてから夕方の5時頃にさんぽに出た。
秋の彼岸も過ぎると、日が暮れるのが早いのには驚くほどだ。
川に石を投げ入れるのと、鉄橋の下を通って鉄橋をしたから観察するさんぽコースだ。
近ごろは草っ原をジィと走ることも恒例となりつつある。
また、鉄橋をくぐって土手を乗り越えたところにある田んぼに行くと、目と鼻の先に電車が頻繁に通るのが見られる。
その場所を、ゆっちゅは知ってしまった。
そこへ行くといって聞かないので、連れて行って戻ろうとした頃には、南の空に三日月がきれいに見えるほど辺りは暗くなっていた。
夜間照明がない河川敷は、足元が暗く不安を感じるほどだが、少年野球が出来るようにある程度整備されているところまで来ていたので「ゆっちゅ アンヨする」と聞いたら、降りたい仕草をしたので下ろした。
大きな橋に設置された照明灯の光が高いところから多少届いてはいたが、、ぼんやりとゆっちゅの姿が確認できる程度だった。
ゆっちゅの顔はよく見えないので、表情が読み取れなかったが、暗がりを恐れる様子はなく、刈りそろえられた草原に立ち、2、3度足を踏みならすと走り出した。
つまずきはしまいかとハラハラして見守っていたが、ジィの心配をよそに、昼と同じように走り回る姿が、薄ぼんやりと確認された。
ゆっちゅの目はまだ野生のままなのだと思った。