「パブロフ的」コンテクスト〜石

ゆっちゅにとって、石はどういう存在なのだろう。

さんぽしていて、ごく小さな石を見つけると、親指と人さし指の二本でつまみ上げては、それを左手に乗せて握りしめている。

大きめの石は、ジィにくれる。

たくさん石がある所では「これ、ちっちゃいね」「これ、おっきいね」と言いながら、並べたり見比べたりして遊ぶ。

 

ゆっちゅは、石と石で出来ているものに関心を示す。

歩けなかった頃の川の石投げにはじまり、歩きはじめると、河川敷の石段、さんぽ道の石仏、コンクリートの道路、自分の身の丈ほどもある石垣の石や、ブロック塀もゆっちゅには石だ。

そしてやがては、電柱、橋脚などの構造物の石にも、ゆっちゅの関心は広がる。

それらを、いちいち触っては「イシ」と言って確認する。

他の物とは違い、石を手にとることにおいては、躊躇なく、疑いを持たず、積極的にアプローチする。

安心するのか、信用できるのか、ゆっちゅは石をよく理解しているようだ。

はじまりは、涼やかな風が吹く橋の下で自分の足で踏みしめた大きな石の、足裏から伝わった感触にあるように思える。

硬くて確かなものを、ゆっちゅは感じたのだろう。