強情っぱりなゆっちゅに、手こずるジィ

一昨々日のさんぽでゆっちゅは、今までになく長く激しく泣いて暴れた。

何が気に障ったのか、ジィには察しがつかなかった。

ここ数日ずっと続いている、ゆっちゅのお気に入りのコースを辿っていて、ジィがゆっちゅの求める何かをしなかったことが原因らしいのだが、しばらく経ってから不機嫌になり、時間を前に遡れと言わんばかりに無理難題をいって、前にも後にも進まず立ち往生してしまった。

ジィが無視してしまったのは、ゆっちゅにとっては大事な手続きというか、段取りというか、儀式のようなものであったように思われる。

いつもならすぐにも、機嫌を直しておしゃべりを始めるのだが、一昨日のイヤイヤは長かった。

さんぽは、4時間にも及んだ。

 

昨日もまた、同じような状態になった。

ゆっちゅの意向にしたがって、いつもと反対の方向へ向かって、抱っこでスタートした。

昨日から咳が出始め、少し熱っぽかったので、今日のさんぽは抱っこ中心だろうから、短めに切りあげようとジィは考えていた。

道が交差するたびに、ゆっちゅに進路を選ばせた。

道は、夏によく辿ったコースで、家々の庭先にある風ぐるまを触ったり、今では落ち葉が吹きだまっている遊園地のすべり台にあがったり、一人で登り降りできるようになった頃よく使った石段を上がったり降りたりしながら、昔を思い出している風だった。

集会所の横を流れる、コンクリートを打った深い沢のそばに来ると、枯葉を拾って、金網越しに沢に落として遊ぶのも、桜の葉が散り始めた頃に、ジィがやって見せたことをゆっちゅが真似して覚えたものだった。

しばらくぶりで河川敷も歩いてみた。

そのあとで、自分が行きたい方向と違うといって怒り出し、二日前と同じように、にっちもさっちも行かなくなってしまった。

 

今日は、体調が思わしくないこともあってか、スタートから機嫌が良くなかった。

いつものコースの踏切りでも、抱っこから降りて、歩く意欲も見せなかった。

いつも立ち止まって、文字を読む看板やポスターの前も素通りした。

そして一昨々日にっちもさっちも行かなくなったところにやってきた。

前回と同じように、畠のなかにペットポトルや空き缶で作った風ぐるまがあるところで、なかに入りたそうに行ったり来たりした。

周りを柵やひもで囲ってあるので、なかには入れないよと諭しながら、手が届くものには少し触らせてやった。

柵沿いに石段の道があったので「行ってみようか」とゆっちゅに提案してみたら、初めての道に好奇心が湧いたと見えて、俄然積極的に歩き出し、いつものゆっちゅが戻ってきた。

初めての道から、また別の初めて道に入るときも「こっちへ行ってみようか」と提案してみたら「こっちへ いってみようか」と好奇心に満ちた復唱する声が返ってきた。

そのあとは、いつものゆっちゅに戻ったままで、寒空の下、鼻水を垂らして、冷たい手で石や落ち葉を拾い集めて遊んだりして帰った。