「ゆっけ」は「ゆっちゅ」

ジィの家のトイレの扉の横の壁に、一本の青いクレヨンで描いた線がある。

家のそこここに絵を描きまくった時期に、ゆっちゅが描いたものだ。

しばらく前から、その線をゆび指して「だれ かいた」と、ゆっちゅが言っていたことに、今になって気づいた。

そして、つい最近「ゆっけ かいた」と、それに続けて言っていたのを、今になって思い出した。

 

「ゆっけ」は、自分を指す言葉として、写真やビデオに映った自分を指して使うようになっている。

今更ながら、ゆっちゅの自意識の変遷を思い返すと、さんぽの道すがら、カーブミラーや硝子戸に映る自分の像に、久しく以前から自覚した反応を見せていたのだった。

それが、今では自分のしたこと、しかもかなり昔の自分の行為を、自身で認めるところまで、ゆっちゅは来ていたのだということに、ジィは改めて感動した。