新年初さんぽ

ゆっちゅとの初さんぽは、3時間に及んだ。

その間、抱っこしたのは、暗渠にかかる鉄格子の端につまづいて転び泣いたときに少しだけで、あとはひとりで歩いた。

ジィが帰省していた間、ママと3時間さんぽして、自分で歩くよう厳しく指導されたようだ。

久しぶりのさんぽで、ちっと寂しさを覚えたが、頼もしくもあった。

時折り見せる、ジィの気持ちの動きを見きわめようとする鋭いまなざしに、わずかな間に大きく変化してゆくゆっちゅの成長を感じた。

 

昨年の10月の雨台風による河川の冠水で、ごっそり土が削り取られた河川敷の補修工事が、ようやく終わろうとしていた。

まだ重機のつめ跡がそこここに残されているなかを、ゆっちゅは盛り上がった土を足でならしたり、蹴散らしたり、凹んだところに入り踏みしめたりして、時間をかけ少しずつ歩みを進める、その姿は孤独な人を思わせた。

草が生え揃っているところにくると、いつもジィに笑みを含んだ視線を送ってよこし、足を前後に開いて腰を落とし、「よーい」と声をかけて走ろうとうながしてくる。

このとき見せる、ゆっちゅの微笑みは素敵だ。

 

ゆっちゅは、道なき道を行くのが好きだ。

やはり10月の冠水でなぎ倒された葦やよしずの中を漕いで歩き、自分の背丈の二倍もあるよしずと思われる草の茎をつかんで揺らし、重たげに穂先が動くのに興じていた。

そのうち、その穂先でジィの胸を撫でまわし始めて、何を思ったか無邪気に笑うゆっちゅの顔は、とても美しいものを見ているように思っていたジィの胸を熱くした。

 

ゆっちゅ、今年もよろしくな。