魔法の世界

二歳3ヶ月になったゆっちゅは、遊びのなかで寝転ぶことが目立ってきた。

階段の登り降りや荒れ地での歩行を見ていると、片脚で上半身のバランスを取るのが上手くなってきた。

プラレールやミニカーを、伏せって見ることで臨場感を味わうようになってから、身体可動域が広がったと言うか、自由度が増したように思われる。

ゆっちゅは横になって視線を低めることで、自分が見ているものとの一体感を感じとっているようだ。

その一体感が中断されると、バスやごみ収集車を投げ捨てる。

おもちゃが持っていた魔法が解けてしまったことが許せないと言いたげだ。

ゆっちゅは「ハリーポッター」のような魔法の世界の扉を開けてなかに入る術を覚えはじめたらしい。

だから、そんなときは不用意な言葉をかけないように注意している。

ジィがかけた言葉が別なイメージを喚起して魔法が消えてしまい、おもちゃを投げ捨て目が座り無表情に立ち尽くすゆっちゅを見たくないから。