砂山
原子は渦巻きの姿をしているとも考えられるという。
絡まりあって原子は分子を作り、さらに高次のつながりを持ち、あらゆる物が形づくられて行く。
また、動植物は物質が通過して行くシステムだという。
システムにおいては、構成されている一部分に情報が入る、それは「違い」として表れ、「違い」が「違い」を生むというふうにして、情報は関連する部分に伝わる。
そして、システムは平衡を維持しながら定常状態を取り戻し、新たな状況に適応して変化して行くという。
物に触れるとき、我々は感覚を覚える。
ゆっちゅのゆびが物に触れるとき世界へつながる。
河川敷に、グラウンドの補修や災害対策用の土嚢に使うために砂が山に盛られているところがある。
砂はそれほど大量にあるわけではないが、ゆっちゅの背丈ほどの山になっている。
固めの砂山に登り、砂の山を棒で削ったり掘ったり崩したりして、そのうち手で撫でまわし砂に形をあたえている姿は彫刻家を思わせるものがある。
ゆっちゅは砂と一体となり、暗黙の知が動きはじめるのだった。