自転車の研究
ゆっちゅが自転車の仕組みに興味を示した。
はじめはベルや変速ギアのスイッチであった。
続いてペダルをこぐジィの太ももに関心が移っていった。
その日は自転車に乗るのを拒否して土いじりをし出した。
ゆっちゅがサイクリングに使う自転車はジィの家の庭先にスタンドを立てて置いてあった。
ジィは手持ち無沙汰だったので後輪のタイヤのスポークに指をかけ回した。
ゆっちゅも興味を持ちマネしてスポークにゆびをかけまわしはじめた。
しばらくは慎重にそうっとまわしていた。
そのうち、土いじりをしていたシャベルを回転するスポークのあいだに差し込んだりした。
そこで、ジィはペダルを踏んでタイヤを回してみせたところ、ゆっちゅの心にヒットしたようだ。
ジィにペダルを踏むように何度か指示し、シャベルを回転するスポークに差し込んで何か観察らしいことをしはじめた。
そのうち、自分の手でペダルをまわしてダイヤが回転するのを興味深げに見つめていた。
その間、ゆっちゅは一言も言葉を発しなかった。
自転車の仕組みを研究するゆっちゅは、無意識のレベルで知覚し把握しようとしているらしかった。