デジタル的な知②
「あっちも」「こっちも」
車のナンバープレートのひらがなを読む習慣ができてから、「て」でも「と」でも、同じ文字のナンバープレートの車が並んでいたりすると「こっちも『て』」と、助詞の「も」を使うようになった。
また、アパートの駐車場にはたいてい同じ車がとまっているからそれを覚えてしまって、見る前からひらがな文字を言うようになり、また同じ文字の車があって「あっちも『と』」などと言う。
同じ車をたびたび見ることは、知覚的に同一性を確認することであるが、ナンバープレートの文字の同一性の認知もまた、知覚的なものであろう。
「もっと やる」「もう一回やる」
すこし高いところから飛び下りる、ゆっちゅとの間で「ジャンピング」と呼んでいる遊びがある。
ひとりでは上がれない段差があるところではジィが手を貸してやる。
なかなかやめないので「もう おしまいにしよう」と言っても、「もっと やる」と言ってきたり、「もう これが最後だよ」と言っても、「もう一回やる」と自分を主張する。
こうなるともう、ゆっちゅは言葉を使っていると言っていいだろう。
まだ、音声言語のほうだけだが。
知覚や情感によってアナログ的に認知していたものが、言葉がまとわりついて分節されはじめ、デジタル的な知が言葉とともに立ち上がってきているのだ。