家で遊ぶ

ゆっちゅは近ごろ遠くへ行くことより家の周辺をめぐり歩くことを好む。

さんぽに出るのを拒み家で遊ぼうと主張したり、ゆっちゅが暮らしているアパートの一室の外周で遊ぶのが増えてきた。

さんぽするにしても道の選択に迷いがなく、目的は河原でサッカーをすることで、いつも同じ道を走ってゆく。

サッカーに満足するとジィの家に行って、家の周りを歩きガスポンベを確認して、庭の土いじりをするのが今のゆっちゅの行動パターンになっている。

そんなゆっちゅの行動には、ある種の「まとまり」が現れてきているように思える。

 

これまでのさんぽが電柱と電線にはじまり道をめぐり町のそこかしこを散策して、道で出会う人や車、電車が通る線路や踏切、川や山々の景色などの広い世界に関心を示していた。

また、橋、足、柱、橋梁、鉄橋、窓、床、塀、屋根、壁、雨戸、網戸、門扉、ガラス戸、戸袋、すだれなどの建築物への興味は、家の構造の理解へと進んでいった。

さんぽコースには核家族が暮らす規模の戸建ての家が多く、そのほとんどにガスポンベが設置されている。

ゆっちゅはそれを確認して歩き、家にはガスポンベがあることを知り、節分の折、ジィの家の周りを豆まきをして、それがジィの家にもあることを知った。

また、自分の家とジィの家での生活を通して、家というものを自分の身体の延長線上にとらえ、家には一定の様式、つまりゆっちゅにとっての「同じかたち」があることを、水、ガス、電気を使っていることを通じて理解しているように思われる。

しかも、よその家と自分の家の区別も分かっていて「よそのお家だよ」と言うと、足を踏み入れない。

 

ゆっちゅには、自分と一体のものとしての住居の概念がつきはじめているのかもしれない。

そして、自分が住まう家を意識するようになって、家で遊ぶ傾向が顕著になり、それに歩調を合わせるかのようにママに甘える行動が目立つようにもなってきた。

ゆっちゅの性格形成が始まったのか、時折りゆっちゅの個性と呼べるようなものがキラリと現れるのが認められる。