子どもの世界

ユズとハルがゆっちゅの家を訪ねて遊びにくるようになった。

ユズは「おもちくん」と呼んでモチモチしたゆっちゅのほっぺがお気に入りらしい。

その日ジィが家に戻った後で、2回目の訪問があったと言う。

小3の姉のユズちゃんが「お餅君の家に遊びに行く」と言うので、お母さんも気になって三人でやって来た。

ゆっちゅは初めて会うユズとハルのお母さんにもすぐに打ち解けて、みんなで玄関前の通路でサッカーをして楽しんだという。

ハルもキャッチできないボールを蹴るゆっちゅのセンスに、皆が将来のJリーガーだと太鼓判を押してくれたそうだ。

 

二歳半のゆっちゅが七歳から五歳の年齢の幅があるユズとハルのやることをじっと見ていて自分でも同じことをしようと意欲していることには、改めて感心させられた。

散歩に行くのが楽しみだった頃のジィを迎える目の輝きとはまた違う意思のこもった力強いまなざしでゆっちゅはふたりの来訪を迎える。

そんな目の輝きをゆっちゅが見せるようになったのは、ユズとハルのお陰だ。

しかも姉のユズがリーダーシップをとっていてゆっちゅに好意を持っているので、激しい身体活動をするなかにもソフトな空気が漂っているのは幸いだ。

ガキ大将を中心にした子どもたちだけの遊びの世界で、幼い子が憧れの気持ちを抱いて、年上の一挙手一投足に熱い視線を送っていたころのジィの子どもの頃を思い出す。

それは、経験の差がつくり出す子供同士の世界のなかでは学ぶことがたくさんあって、遊びに夢中になって時が経つのも忘れて、仲間と別れてから急に空腹感が襲ってきた頃の子どもたちが持っていた目の輝きだ。