外遊初日

ゆっちゅがアパートの敷地の外に自分から足を踏み出したのは、内発的な衝動に駆り立てられたからであろうか。

いっしょに歩いていて、ゆっちゅが何かを探し求めている様子が感じられた。

最初に向かったのは田んぼであった。

入りたいというので、土留めされた石垣の上に

抱きあげてやって立たせてやった。

土を起こして間もない柔らかくでこぼこした田んぼのなかに降り、ゆっちゅはお砂遊びセットの入ったネットの袋を引きづりながらその上を歩いた。

少し行ってジィが付いてこないのに気づいて、振り返ってジィに声をかけてきたが「ジィは行かない」と応えたら、引き返してきた。

自分が行きたいところがあるときはジィに付いて来いといって強情を張るのだが、こだわる気持ちがなかったのだろう、田んぼから降りるといって石垣の上に立って手を差し出してきた。

道に降りてからも、回り込んで田んぼに上がろうと石垣沿いに歩いて田んぼにこだわりを見せていたが、ふとゆっちゅは歩みを止めた。

そして、ゆっちゅは踵を返して来た道を戻り、道を挟んで以前よく遊びに行っていたこじんまりとした児童遊園地の横にある階段に出る細い路地の入り口に立って行こうという、しかも抱っこして行くという。

そのときすでにジィには聞こえなかったが、ゆっちゅの耳には子どもたちの声が届いていたようだ。

ゆっちゅを抱っこして緩やかに坂を下って行って、竹を斜めに切った切り口のような上部から底にある児童遊園地を見下ろすと、小学3〜4年生の男児を筆頭にして四、五人の子らが大声を出して遊んでいた。

この声にゆっちゅは引き寄せられたようだ。

その子らのうち四人は隣接する家の兄妹らしく自分の家の庭のようにして走り回っていた。

彼らの姿が見えるや否やゆっちゅは抱っこから降りて、階段をひとりで降りて児童遊園地の中に入っていった。

はじめは、彼らの遊ぶ様子を真剣な目で追っていたゆっちゅは、時折仲間に入れて欲しそうなそぶりを見せながらも誘ってもらえないとわかると、鬼ごっこで子どもたちが追いかけ合っているすべり台にひとりで階段を上り、すべり下りて、下りた台を逆に登り上がろうとしたりして、皆がやっていることと同じようにしようとしていたが、仲間に入ることはできなかった。

しかし、彼らから何かを学ぼうとして真剣に観察するだけで満足している様子だった。

ユズとハルの場合と同様で、遊びのレベルが自分とはかけ離れているとわかると、ゆっちゅはわがままを言わずにじっと観察する。

小学校低学年の遊びかたは、取り分け強くゆっちゅの心を惹きつけるようだ。