「右まわり左まわり」

その場に立って天井を見あげてぐるぐる回る遊びをゆっちゅは以前からやってはいたのだったが、右回りと左回りの区別がわかるようになった途端に「右まわり 左まわり」と唱えながら右に回ったり左に回ったりすることが一段と楽しくなったかのように夢中になった。

それまでの回転遊びが身体からの内的な触発によるものとするなら、言葉をともなった回転運動は脳の回路を経てじぶんの身体をコントロールをしはじめたことを意味している。

ところで、じつはその直前に「ジィジの右手はどっち」と言って、ゆっちゅの目の前に両の手を差し出したところ、ゆっちゅはじぶんの右手でジィの左手をつかんだので「それはジィジの左手だよ」と言って右手を差し出し「こっちがジィジの右手」と言ったところだったのだ。

そうしたらゆっちゅはくるくると走りまわりだした。

「それは左まわりだ」と言ってやった。

そうしたらゆっちゅは向きを変えて回りだしたので「それは右まわりだ」と言うと、4、5回るたびにゆっちゅは向きを変えて「右まわり」「左まわり」と言いながらしばらく遊びに興じていた。

 

まだ、ゆっちゅにとっては他者の左右の理解はハードルが高いようだ。