空に吸われし65(歳)の心

朝起きて、今日のブログに書くべき記事が、思いつかなかったので、いつもより早くランニングに出た。

曇り空だったが、冷んやりとした空気を肌に感じながら、ブログの内容をあれこれ探した。

雲は形がはっきりせず、漫然と重なりあって空を覆っていた。

 

やはり昨夜の電話の件を書くべきだろうと思った。

その電話というのは、知人の訃報を知らせるものだった。

ジィが大学を卒業してすぐに勤務した職場の先輩である。二、三歳上の男性である。70歳になるかならないか、であったろう。

新採用の私たちが、はやく職場にとけ込めるようにと、いろいろと気を配ってくれたり、新歓ハイキングなどを企画してくれた人だった。

その時登った山は、家からよく見えるところにあり、なだらかな稜線のやさしい山容を見せている。

職場の若手の中心的存在で、趣味を同じくする仲間たちと、器楽演奏と詩の朗読によるミニ・コンサートを企画して、知人や職場の同僚を招待したことがあった。甘党の彼は、行きつけの店で買ってきたケーキにコーヒーや紅茶をつけて、キャンドル・パーティー風のおもてなしをするというコンサートだった。

そのときジィも、請われて詩を2、3篇朗読した。

そんなことを、思い返しながら走った。

 

走り終えてふと頭上に目をやると、季節外れなうろこ雲が出ていた。それを見ていたら、青空に吸い込まれそうな感覚を覚えた。

ちょうどそこは、ゆっちゅとさんぽする河川敷だったので、ジィの手をとって反り返って上空を見上げたり、草の上にあお向けになってまぶしそうにしながら、声を上げてはしゃぐゆっちゅの記憶が戻ってきた。焦点が定まらない空の青さと、雲に視線が取り付いた時のほっとする感じを、ゆっちゅは味わっていたに違いないと思った。