言葉を使う

感覚神経と運動神経とが連係するシステムは、人類を含め動物が、外界の状況を把握して適切な行動をとりながら、自己の生存を確保するための、動物としての本質的な生理的機能です。

行動が適切であってもなくても、感覚を通してフィードバックされ、行動は強化されたり調整されたりします。

人類を除く動物においては、行動は多くの場合本能によって的確にとれるようですが、人間の場合は、試行錯誤を繰り返し経験と学習を重ねることで、状況に応じて適正な行動がとれるだけでなく、状況を改変する能力も身につけるようです。

感覚器官で受けとった情報が脳に入力され、脳で処理され、しかるのち、運動神経を通して指示されて行動となって出力されるのは動物一般に当てはまりますが、人間の場合はそのあいだに言葉が介在してくるのです。

そのため、人間は本能によって無意識にというか、条件反射的にというか、機械的な行動は、他の動物にくらべるとかなり少ない分、意識的行動や合理的行動が多くなるのは、言葉の使用と脳の大きさが人類の際立った特徴となっていることからも、当然のことと言えるかもしれません。

 

大人の人間になるため、ゆっちゅは今、一生懸命に言葉を使おうと頑張っています。

見えているもの、聞こえてくるもの、味覚や嗅覚や触覚に訴えてくるものを言葉でとらえようとしています。

ゆびを指して、幾度となく大人から同じ言葉を聞き出し、自分が出した声を何度も聞いて、同じ言葉にしようと努力していると思うと、ジィはゆっちゅを応援したくなる。