地縁の神

ゆっちゅは、ジィにとって地縁の神様です。

ふたりでさんぽしていると、散歩しているお年寄りの方や、犬を連れている人や、ゆっちゅと同じくらいの子を持つお父さんお母さんたちと知り合いになることが増えました。

 

ゆっちゅは、犬を怖がりません。

ジィの家で猫を飼っているし、動物と触れ合う機会があると両親がよく連れて行くからでしょう。

ジィは、動物好きではありませんが、ゆっちゅといると、一緒に親しみます。自ずと飼い主とも言葉を交わします。

飼いはじめたばかりの仔犬と土手沿いの遊歩道を散歩していた小学生の男の子に遭ったことがありました。

ゆっちゅがかけ寄ると、仔犬もじゃれてきました。

ジィが犬の名前を尋ねると、男の子は「さくら」とうれしそうに教えてくれました。

ちょうど桜が見ごろの頃でした。

 

あまり車も通らず、道沿いの植え込みや庭先に色鮮やかな風ぐるまを差している瀟洒な家が立ち並んでいる一角があります。ゆっちゅのお気に入りのさんぽ道です。

その道で、ゆっちゅと同じくらいの女の子がお父さんと遊んでいるところに遭遇したことがありました。

ゆっちゅと女の子は、風ぐるまに触ったり、ほかの風ぐるまを見てまわったり、しばらく一緒に遊ぶともなく遊んでいました。

そのうち、女の子が枯れた草の茎をひろって、ジィに手わたしてくれました。

そんなことがきっかけとなり、女の子のお父さんと知り合いになりました。

 

他にも、小さい子がいるおかあさんや、散歩しているおじいさんやおばあさんが、ゆっちゅと目が合うと、微笑んで話しかけてきたりするので、自然とあいさつを交わすことになり、やがて顔見知りになっていきます。

ジィは、何か心が豊かになってゆくのを感じます。