待つこと
ゆっちゅが二十歳になるまで、ジィの寿命が続くかどうかはわからない。
ゆっちゅがどんな大人になるのか、大いに楽しみではある。
あと何年生きられるか、それは誰とてわかりはしない。
はやく成長してほしいと思うと、ついゆっちゅの相手が面倒に思うこともある。
それは、よく考えてみると、人間の尺度を当ててみているため、自分が簡単にしていることができないことに失望していることが多い。
ゆっちゅはわずか二年ちょっとの間に、38億年かけて進化してきた生命の進化の跡をたどり、20万年前頃に登場した新人類ホモ・サピエンスの段階にようやく到達したことをおもえば、成長速度は驚くべきものだ。
ゆっちゅの成長が、人間の歴史時代の到来までにたどり着くには、まだたくさんの経験と学習を重ねなければならない。
それを考えたら「待つこと」は、どうってことはないと思う。いくらでも待ってやろうと思った。
年寄にできることと言ったら、こんなことくらいだろう。
いや、長い年月を生きてきた者だからこそできることかもしれない。