ゆっちゅとジィの住むまち
ゆっちゅとジィが住んでいるのは、山と川に挟まれたところにできた町だ。
二つある鉄道駅の周辺で飲食関係の商いを営む家が多く、家々が密集して立っている辺りが比較的平坦である。
住む人がいなくなった家は駐車場へと、次から次へと増殖している。
そこから少し離れると、傾斜がきつくなり、小さな畑と家が点在する風景に変わる。
温暖な気候を生かしてみかんを栽培する農家が昔はけっこうあったらしいが、作り手がいなくなった駅に近い畑には、住宅が建てられていく。
川沿いの昔のみかん畑だったところに、ジィの家がある。
ゆっちゅが引っ越してきたアパートは、以前栗の木の畑だったところだ。
二つの家の間には、山が迫っているため、川の上流へ向かって、比較的新しい家が多く建ち並んでいる。
その山の南に面した斜面の中腹にはみかん畑が点在していて、その下を高速道路が走っている。みかん山にみかん狩りに訪れる人もいる。
川側はかなり広い河川敷がひろがっている。平地としては町一番の広さだが、大雨でときどき冠水するので家はない。
しかし、休みの日ともなると、サッカーチームや野球チームの子ども達の声が響いて賑やかだ。
500mほどの高さの、みかん山の頂きから飛び立つパラグライダーが、一年を通して、多いときでは20機ぐらい上空に浮かんでいるのが見られる。
川の反対側にある町は、幅4kmほどにわたって長年の川の蛇行でできた平地で、一部水田が広がっているが、その周りは宅地造成で人も家も増殖している。その背後に1000m前後の山が連なっている。
川下は10kmほど行った先で太平洋に注ぐ。
川上は水源となる1500mを越える山々が立ち並ぶが、手前にある500m前後の山々に隠れて見えない。
その山並みの上に、日本一高い山の上半身が見える。
こんな景色が見られる道を、ジィは毎日走る。
高速道路に並行して、山の裾を縫って上り下りを繰り返す側道を走る、往復5kmのコースと、みかん山を200mほど駈け登って降りてくるコースが、今のジィのお気に入りだ。
今日は、ゆっちゅとのさんぽはお休みです。