日記

  朝、目が覚めたとき雨が降っていた。5時、小雨の中、日課にしているランニングに出た。走り終えるころ、雨が上がった。

ジィは毎日ランニングすることで心身のバランスを調節するのだ。

自分の身体をコントロールするのは難しいことだが、毎日欠かさずやることで、心身が馴れ合うのか、身体に心がフィットする。

それが心地いいから、多少の雨なら走りに行く。

今日も、心置きなくゆっちゅとのさんぽができそうだ。

ゆっちゅの家に向かって、いつものさんぽ道を歩いて行くと、ゆっちゅのお気に入りの風ぐるまがある道に、カラスの死骸があった。羽を閉じていて傷ついた様子はなかった。死骸は静かだった。

ゆっちゅの家に着くと、元気に玄関先に出てきた。寝坊して、朝ごはん前だったが、さんぽに出かけた。

出だしから抱っこだった。関心は樹木にあって、庭木をゆび指しては、「き、き、き」と声を発する。

最近、興味を持ちだした電柱が、言葉になりかけてきた。そして、風ぐるまも言葉をつかみかけてきた。

カラスの死骸があるところにやってきても、気にとめる風もなかった。関心は、相変わらず風ぐるまだった。

そこからすぐの遊園地に行き、雨上がりの水を含んだ土砂をつかんでは投げたり、すべり台を二度、手を持ってもらって滑ってから、風ぐるまのところに戻っていって、ひとしきり風ぐるまを見て回ってようやく死骸に気づいた風だった。

そのとき、通りすがりの二人連れの年配の女性が、ゆっちゅの顔を見て話しかけてきた。カラスのことで立ち話をした。

ゆっちゅは、ちょっと見ただけで、また遊園地に戻って、砂をいじっているところで、さんぽの終わりの時間がきた。

帰ろうとしているところに、ごみ収集車がやってきて、カラスの死骸を持っていった。

そこに、また戻ってきた先ほどの二人連れは、ジィが連絡したと思ったようだ。ゆっちゅにさよならをして、去っていった。

ゆっちゅはお腹が空いていたのだろう、ジィの言葉に従い素直に家に帰った。

雨上がりに陽が射してきてむし暑くなって、ジィは少しバテた。