サッカー遊びとボールを使った研究
ゆっちゅと初めてサッカーをした。
いいセンスを持っていると思った。
パパからボールの蹴り方は習っているらしい。
まだ左足のトーキック、つま先でける蹴り方だけだが、かなりの確率でヒットしていた。
しかし、なんと言ってもボールに向かってゆく野生的でタフな体力がすばらしい。
ジィも蹴れというので、ゆっちゅの左右に少し離して蹴り返すと、きゃっきゃっと奇声を発して追いかける。
30〜40分は走り回っていただろう。
ボールは直径15cmのビニール製のものなので、ゴールに蹴り込んだらネットを通り抜けて土手の坂をボールが這い上がっていった。
それを二、三度繰り返したら、今度は這い上がっていったボールが坂を転がり落ちてくるのが興味を引いたようで、ゆっちゅはそのうちボールを手に持って坂に向かって投げはじめた。
それを何度か繰り返しているうちに、ボールがそれてコンクリートと鉄格子でてきた排水溝の傾斜をコンコンコンと音を立てて転がり落ちてきた。
今度はそれを夢中になってやっているうちに、側に石段の縁のコンクリートの傾斜に目をつけて、石段を登りそこにボールを置いて転がって行くの面白がりだした。
そのうちゆっちゅは真剣な面持ちで転がり落ちるボールを観察しはじめた。
転がり落ちたボールを拾いに行こうと誘っても、ジィに取りに行くよう指示をして自分は石段から離れようとしない。
無理強いするとそっくり返って暴れだす兆しが見えはじめ目が座りだしたので、仕方なくジィは取りに下りる。
ゆっちゅは一段一段と上にあがり高い位置からボールを転がす。
その度にジィは駆け下りボールを拾いに行く。
その間にゆっちゅはまた上の段へあがる。
ゆっちゅがつまづいて転げ落ちはしないか気が気ではなかった。
その日の夜、ゆっちゅを家に送って行くと、室内遊具のすべり台の上から二台の大きなおもちゃのごみ収集車を滑り走らせる遊びに付き合わされ、なかなか帰してもらえなかった。
すべり台の上のゆっちゅに、滑降しおわったゴミ収集車を手渡す仕事をしなければならなかったからである。