一枚の写真

ゆっちゅはさまざまな経験をするなかで自分自身の習慣化した行為を意識するようになり、徐々に自分が意識を持った主体であることに気づきはじめたようだ。

それが一枚の写真から見て取れる。

そこに写っているゆっちゅは、目が座り落ち着いた表情を見せている。

激しい感情が湧き上がってくるときに見せる目の座り方とはあきらかに違う。

目は外界の何かを見ているわけではない。

そういうときは目に光が宿る。

ゆっちゅの意識はゆっちゅの身体から離れ、対象のもとに張りついている。

その写真では、ゆっちゅの意識は自分の心のなかを静かに見ているふうである。

やがて自我の核となってゆく、自己意識のスタートを物語る姿である。

ここから自らが意識を持つ主体であることの自覚、すなわち「統覚」がはじまり、やがて習慣化する。

そして、習慣のレールの敷設がはじまりさまざまなコンテクストを読み取りながらひとつの自我が、すなわちゆっちゅの性格が形成されはじめることになる。