アンブレラ
昨日の夜、帰る間際までジィの家で見ていた、幼児向けの英語教材DVDに出てくる「アンブレラ」という言葉が、ゆっちゅの笑いのつぼに嵌まった。
連日の雨に、ゆっちゅも傘を目にする機会が多くなっていたこともあろう。
昨夜も雨の中、ゆっちゅを抱っこヒモで抱えて、ビニールの透明な傘をさしていた。
例によって、街灯の下にさしかかると透明な傘に降りかかり、音を立てて跳ねまわる雨つぶに「クルクル」と、ゆっちゅははしゃいでいた。
そして、上に向かってゆびを指し「これ、これ」言う。
いつもは、「カサ」と答えてやるのだが、いっしょにDVDを見ていたこともあって、教材をまねて、英語のイントネーションをつけて「ァンブレーラ」と言ったら、ゆっちゅが笑いころげた。
即座にゆっちゅからのアンコールの催促が始まった。
実はこのDVDは、ゆっちゅが一年ほど前によく見ていたものである。
そして、10日ほど前に、「親子で英語あそび」という催し物にゆっちゅを連れて行ったところ、歌やリズム遊びの中で、ゆっちゅが慣れ親しんでいたそのDVDの歌が使われていたのだ。
1~3歳児が10数名、いっしょに歌ったり踊ったりしてきた。
親の手にぶら下がってのブランコや、親の足の左右の甲にこどもの左右の足を乗せて歩く遊びを、親子でいっしょにやったりした。
ゆっちゅはそれが気に入ったようで、帰ってからもせがまれてときどきやる。
昨日も、そのDVDを熱心に見ていた。
身じろぎもせず食い入るように見ているかと思えば、音楽に合わせて手を叩いたり、ジャンプを繰り返したり、画面の動く絵柄をゆび指して「クルクル」と口走るかと思えば、「シークルクル、シークルクル」と唱えながら身体を回転したりしていた。
DVDが終わると、リモコンを持ってきて、もう一度やるよう催促してくる。
4回連続して楽しんでいた。ママが仕事から戻ってきて、帰る時間になってビデオを中断しての帰宅途中の「ァンブレーラ」だったのである。
夜の9時過ぎに、大声で笑い、大声で「アッシークルクル」「シークルクル」「アシ」「これっ、これっ」と、ゆっちゅ。
それに答えて「ァンブレーラ」と、ジィ。
それを聞いて、ゆっちゅのゲラゲラ笑う声。
まるで、夜中のチビの酔っぱらいだ。
しかし、ゆっちゅのあまりの喜びように、ママもジィも浮かれ気分のおすそ分け。
その時「アッシークルクル」って、もしかして電線と電柱をいっしょにして言い表した言葉じゃないかと、ママとジィは同時に思い至った。
「アッシー」が電柱で、「クルクル」が電線のまわりをくるくる螺旋状に巻いている線、すなわち、ゆっちゅには電線を意味していたのだ。
《ゆっちゅ、昨日・今日》
ゆっちゅは、きのう病院に行って、のどが腫れているらしく、薬を処方されて帰ってきた。
今日のさんぽでも、ときどき、痰が絡むようで咳をした。
起きてすぐのさんぽだったが、相変わらず「柱」と動くものへの好奇心が旺盛であった。
田んぼでも、水を手で動かして、顔を水に浸けんばかりに食い入るように見入っていた。