アシモー

ゆっちゅの使う言葉に、感情を表すものの一群がある。

例えば、ゆっちゅが好んでよく口にする「アシモー」という言葉がある。

これは、ママの「あ〜 もう」「あらまぁ」という言葉が元になっていると考えられる。

あら、またなの、しょうがないわね。

もう、いい加減にしてちょうだい。

というような意味で、ゆっちゅが悪さをしたり間違ったことをした時に、やんわりと軽く叱責するニュアンスでつかっているのを真似たものだ。

ゆっちゅもよくママから言われてもいるのだろう。

アシモー」は、叱責するニュアンスはほとんど感じられず、呼びかけのことばとして、事のついでに合いの手を入れるような感じで使われる。

アシモー」に比べて「ああ もー」は、やや非難めいた口調をもって使っているように聞こえる。

 

「あれーェ」「あれれー」「あららっ」という言葉もある。

あらダメじゃないの。

あれーそんなことしていいの。

ゆっちゅが失敗したり、してはいけないことをしてしまった時に、ママが口にする言葉だ。

これらは、ほぼ同じように使う。

ジィが、ダーツを外したりすると、即「あれーェ」「あららー」と野次が入る。

 

街頭に掲示してある男性の顔写真が入っているポスターを見つけると「あっ」と声を上げて、ゆびを指す。

お決まりのやり取りが始まる合図だ。

「あれは、誰」とジィが聞く。

「ハッハッハッハッハッ」とゆっちゅは高笑いをして、もったいをつけて、応えない。

そして、ひと呼吸置いて「パパッ」

「パパじゃないだろう、○○さんだよ」

事の始まりは、親子で動物園へ行った時、ママがゴリラを指して「パパだよ」と教えたことによる。

ゆっちゅが「パパッ」と応えた時、ママがハッハッハッハッハッと大笑いしたらしい。

それがきっかけになって、ゴリラをパパと呼ぶと笑いが取れると学習したらしい。

それから、いろいろな所でゴリラの絵や写真を見つけて「パパッ」と言う度に皆んなが笑うので「ハッハッハッハッハッ」という笑い声と「パパッ」という言葉が結びついたようだ。

それが、街中のポスターにまで拡張されたというわけである。

 

ところで、本日のさんぽ中に「ロク」と「シチ」が言えるようになったのを、ジィは確認した。

ゆっちゅはこれで、ロクとシチはたどたどしいとは言え、イチからジュウまで数が言えるようになった。

ジィは今、ひとり昼メシを食いながら、静かに喜びを噛み締めているところである。