ユッケへおくる言葉

ゆっちゅは自分のことを「ユッケ」というようになったので「ユッケ」と呼ぶことにしよう。

ユッケは四月から幼稚園に通っている。

幼稚園バスが大好きなユッケは運転手席の後ろの窓側の席が、初乗りでその席に座ることができたこともあって、大のお気に入りだ。

見送るママに別れを惜しむそぶりも見せず元気よくバスに乗り込む。

隣には、なにかとユッケに世話をやく同い年のヒナちゃんが座る。

ユッケは幼稚園に行って毎日のように泥んこ遊びをして、泥だらけの靴と服を持ちかえり、ママとパパを呆れさせている。

園庭にホースで水を撒いて遊ぶ年長の子にくっ付いて遊んでいるらしい。

以前からユッケは、雨でできた水溜りに、ときに優しく、ときに激しく自らの足を踏み入れて、水が飛び散るさまや奏でられる音に心が奪われていた。

近ごろでは水面に自分の顔を写して面白がったり、じーじにも楽しいからやってみろと言わんばかりに強要する。

そして、その後で必ず水溜りを踏み荒らして得意げな表情を見せる。

ユッケが通う幼稚園は昔から、それぞれの園児が好む遊びをするに任せてくれるところがある。

そこはこの園のいいところだ。じーじは気に入っている。

ジィのことを、ユッケは「じーじ」と呼ぶようになったから、「ジィ」改めて「じーじ」と自称することにする。

ユッケは、好奇心にあふれたキラキラした目をよく見せる、いかにも子どもらしい子どもに育っているのが、じーじは嬉しい。